「車道なんて怖くて走れません」 青切符導入でも約7割が“継続”を選択――生活の足を狙い撃つ「移動のデッドエンド」とは

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2025年、自転車と歩行者の事故は全国で3269件、うち99.9%で自転車側に違反。青切符導入で罰金が課されても、主婦・主夫の68.8%は依然として自転車を手放せない現実が浮かぶ。

関係者の利害

仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層に対する「自転車の青切符」に関するアンケート調査(画像:ビースタイルホールディングス)
仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層に対する「自転車の青切符」に関するアンケート調査(画像:ビースタイルホールディングス)

 政府にとっての狙いは、事故の抑制にとどまらない。反則金による収入の安定化も、その視野に入っているはずだ。一方で、走る場所を整える前に取り締まりだけを先行させることへの反発は根強い。これは政治的な失点になりかねない危うさをはらんでいる。調査のなかで、ある40代の離職中の人が漏らした「道路の整備ができていないのに罰則だけ強化してどうするのか」という言葉には、多くの人が抱く実直な疑念が詰まっている。国はこれまで公的に引き受けてきた管理のコストを、個人が支払う形へと移し替えようとしている。

 自治体側には、事故対応の費用を減らせるという期待がある。だが、現実はそう甘くない。安全に走れる道を作るための予算をどこから持ってくるのか。住民から噴き出す不満にどう向き合うのか。50代の今は働いていない人が切望するように、安心して走れる環境への要求は切実だ。40代の在宅ワーカーが危惧するように、余裕のない場所で無理に規制を敷けば、かえって危険を招きかねない。自治体は、現場で生じる矛盾を一身に引き受ける立場に立たされている。

 自転車メーカーや関連する企業に目を向けると、安全装備への需要という追い風が見える。しかし、その陰で利用者が自転車を手放してしまえば、特に安い製品から順に市場は冷え込んでいくだろう。これからは、厳しい規制を補って余りあるほどの利便性を持った製品だけが、生き残る道を切り拓くことになる。

 家計を支える「主婦・主夫層」は、無謀な運転がなくなることを歓迎している。だが、その期待と同じくらい、反則金という目に見える出費や、常にルールに縛られる精神的な重圧に怯えている。調査では制度の認知度は83.5%に達していたが、内容を詳しく理解している人は11.4%しかいなかった。何をすれば罰せられるのかを知らぬまま、漠然とした不安だけが膨らんでいる。ある40代のパートの人が、罰金への恐怖から子どもに教えることすらためらうと語ったように、余裕のない家計にとって予期せぬ支出は生活を揺るがす死活問題だ。

 投資家や市場にとって、安全を支える技術は新たな利益をもたらす沃野(よくや)に見えるかもしれない。かつては何の制約もなくどこまでも走れた自転車。その自由だった乗り物は、国の管理が及ぶ場所へと姿を変えようとしている。

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