「車道なんて怖くて走れません」 青切符導入でも約7割が“継続”を選択――生活の足を狙い撃つ「移動のデッドエンド」とは

キーワード :
2025年、自転車と歩行者の事故は全国で3269件、うち99.9%で自転車側に違反。青切符導入で罰金が課されても、主婦・主夫の68.8%は依然として自転車を手放せない現実が浮かぶ。

生活重視の移動

仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層に対する「自転車の青切符」に関するアンケート調査(画像:ビースタイルホールディングス)
仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層に対する「自転車の青切符」に関するアンケート調査(画像:ビースタイルホールディングス)

 今回の分析の土台となるのは、仕事と家庭の両立を願う「主婦・主夫層」の本音を追う調査機関「しゅふJOB総研」(ビースタイルホールディングス)が行ったアンケート調査である。同機関は、日々の暮らしと向き合う552人から、自転車の青切符導入に対する切実な声を吸い上げている。

 今回の調査結果を眺めると、「主婦・主夫層」が自転車を使う目的は驚くほど生活に根ざしている。買い物が48.0%を占め、近隣施設への移動が30.6%、通勤が24.5%、子どもの送り迎えが13.8%と続く。一方で、無視できないのが安全をめぐる厳しい数字だ。

 2025年に全国で起きた自転車と歩行者の事故は3269件に達し、統計が残る2006年以降で最多となった。驚くべきは、そのうち3267件、実に99.9%で自転車側に何らかのルール違反が認められたことだ。しかも事故の56.6%は、歩道や横断歩道といった、本来は歩行者が優先されるべき場所で起きている。

 国が青切符の運用に踏み切る背景には、こうした事故の急増や、ルールが守られていない実態がある。4月からは、ながらスマホに1万2000円、逆走や歩道での通行違反に6000円といった反則金が課されるようになる。ところが、今回、制度が変わった後の行動について尋ねると、自転車に乗る機会は変わらないと答えた人が68.8%に上った。逆に、機会が減ると答えた人は13.8%にすぎない。

 この68.8%という数字の背後には、抜き差しならない事情が透けて見える。事故のリスクや反則金という金銭的な負担を突きつけられてもなお、自転車に乗り続けなければならない。そんな、他に行き場のない現実が浮かび上がってくる。これは個人の心がけといった話ではないだろう。日々の暮らしを支える土台として、他の方法に替えることが極めて難しい。そんな移動のあり方が、今の日本には横たわっている。

全てのコメントを見る