「8回以上の督促」さえ拒否―― 電動キックボードで全国初の書類送検、“免許不要制度”の構造的欠陥とは

キーワード :
都市で急増する電動キックボードの多くは、免許不要の「特定小型原動機付自転車」。制度開始から約2年、警視庁は講習命令を拒否した男性を全国初めて書類送検した。事故は2025年に280件、9割に違反が絡む。利便性を優先した新モビリティは、統治コストという新たな課題を突きつけている。

市場拡大の副作用

特定小型原動機付自転車の交通事故発生状況(令和7年中)(画像:警視庁)
特定小型原動機付自転車の交通事故発生状況(令和7年中)(画像:警視庁)

 この問題はひとりの違反者による行動にとどまらない。その背景にはマイクロモビリティを扱う市場が急速に広がっている実態がある。特定小型原動機付自転車の普及はスマートフォンひとつで登録し、その場ですぐに乗れるシェアリング事業によって進んだ。

 免許を持っていない人でも利用できるため、利用者が増える一方で、運転の経験や知識には大きな差が生じている。本来、市場が広がることは経済にとって好ましいが、交通のルールを守る意識が低い層まで取り込んでしまったことが今の混乱を招いている。

 警視庁の調べでは事故のうち約9割に交通違反が確認されている。ルールを守る意識が高い利用者が、事故や周囲の厳しい視線を恐れて利用を控えるようになれば、マナーの悪い利用者ばかりが道路に残る恐れがある。

 利便性を追い求めるあまり、安全を確保する仕組みが追いつかない現状は、市場の健全な発展を妨げる要因となっているのだ。

全てのコメントを見る