「8回以上の督促」さえ拒否―― 電動キックボードで全国初の書類送検、“免許不要制度”の構造的欠陥とは

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都市で急増する電動キックボードの多くは、免許不要の「特定小型原動機付自転車」。制度開始から約2年、警視庁は講習命令を拒否した男性を全国初めて書類送検した。事故は2025年に280件、9割に違反が絡む。利便性を優先した新モビリティは、統治コストという新たな課題を突きつけている。

免許制度との違い

特定小型原動機付自転車の交通事故発生状況(令和7年中)(画像:警視庁)
特定小型原動機付自転車の交通事故発生状況(令和7年中)(画像:警視庁)

 自動車やバイクには免許制度という仕組みが存在する。違反をすれば点数が引かれ、免許の停止や取り消しが行われる。行政は運転をする資格そのものを管理し、危険な運転者を道路から排除できる。

 だが特定小型原動機付自転車にはこの資格の管理が存在しない。行政が持つ手段は現場での取り締まりや講習の命令、そして最終的な手続きである書類送検に限られる。

 今回の事例では警視庁は対象の男性に対して、2024年10月の違反から2025年7月の受講命令を経て、少なくとも8回以上のやり取りを重ねた。これほど多くの労力をひとりの違反者に費やすことは、行政運営の面で大きな負担となる。

 免許という仕組みがないため、受講を拒み続ける者に対して運転を止めるよう命じる手立てが乏しい。刑事手続きは非常に重い行程であり、すべての違反者に対して頻繁に活用することは現実的ではない。

 結果として講習の命令に従わない者がそのまま運転を続けられる状況が生まれている。資格の有無で運転を制限できない交通の仕組みは、ルールを守らせるためのコストを際限なく増大させる要因となっているのだ。

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