「やっぱりハイブリッドの方が安心だ」 BYD新車販売41%減――BEV・PHV急減、「中国の壁」が映す市場の現実
136.8万台、前年同月比8.7%減。補助金縮小を境に世界の電動車市場が失速した。BEV比率14.0%にとどまるなか、中国依存のテスラやBYDは急減。一方、HVは比率を伸ばす。政策頼みの成長は転機を迎えた。
理想解と現実解

BEVは走行時に排ガスを出さない。環境への強いメッセージを掲げてきた。ただ、発電に使うエネルギー源は地域ごとに異なる。電池をつくる段階で出るCO2や、希少資源をどう確保するかという課題も残ったままだ。
一方のHVは、すべてを解決する万能な手段ではない。それでも燃費性能の高さによって、広い地域で排出量を着実に減らす力がある。限られた条件のもとで成り立つ理想を追うよりも、いまの社会全体で少しずつ排出を減らす方法として見直されている。
BEVとPHVが台数と比率の双方を落とすなか、HVの比率は前年同月比でも前月比でも広がった。理想の姿よりも、いま実行できる成果を市場が求めた。その結果と受け止めるほうが自然だろう。
今回の急減は、特定の企業の失策だけで説明できるものではない。政治支援の縮小、価格への敏感な反応、消費者心理の変化、技術の先行き不安、ルール見直しの動き。いくつもの要素が同時に重なった。
136.8万台という販売実績、そして30.7%まで落ちたシェアは、市場の厳しさをそのまま映す。テスラとBYDが苦しい立場に置かれている背景には、中国市場への依存とBEVへの集中が高いという構図がある。そこに内在していたリスクが、ここで表に出た。
これに対し、トヨタのHVは補助金への依存が低い。動力源を幅広くそろえる方針が、販売の安定につながった。
電動化の流れ自体が止まるわけではない。ただ、その進み方はひとつではない。BEVが一気に広がり続けるという見立ては、いま調整局面に入っている。次の成長は、政策と経済的な合理性が再びかみ合うときに訪れるのだろう。
それまで市場は、理想よりも変化に耐える力を重く見る。この変化こそが、いま立ちはだかる「中国の壁」の正体である。