「EVの充電は後回しでいい」 電力不足が迫る日本、巨大データセンター優先でクルマは社会の“手足”として扱われるのか

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データセンター市場の先行きに64%が前向きと答える一方、29%がエネルギー問題を最大の壁と指摘。EV普及とデジタル化の同時進行は、限られた電力を誰がどう使うかという国家的判断に直結している。

データセンターとEVの電力争奪

EVのイメージ(画像:写真AC)
EVのイメージ(画像:写真AC)

 2026年2月24日、世界の市場調査リポートを提供するレポートオーシャン(東京都中央区、本社米国イリノイ州)が発表した、日本データセンター市場に関する最新調査(対象:エンタープライズIT担当者、データセンター運営事業者、クラウド・ネットワーク関連のインフラ担当者550人)は、日本の産業の重心がゆっくりと移りつつあることを示している。今後5~10年の市場見通しについて「非常に前向き」「やや前向き」と答えた人は64%に達し、否定的な見方は13%にとどまった。

 成長を後押しする要因として挙がったのは、デジタルデバイスによるデータ量の増加が26%、企業のクラウド導入が24%、AIの利用拡大が21%、5Gの普及が18%、政府の施策が11%である。データ増加が設備容量に「大きい影響」を与えるとの回答も67%にのぼった。数字だけ見れば、拡大の方向は揺らいでいない。

 注目すべきは投資の中身だ。費用負担が最も大きい項目として、サーバーが28%を占めるのは理解できる。しかし、それに並ぶ形で電力関連設備が26%を占めている。主役は計算能力だけではない。電気をどう確保し、どう送り続けるかが同じ重みを持ち始めている。

 拡張の壁として挙がったのは、エネルギー消費や環境負荷が29%、高額な投資・運用費が24%、電力供給や送電網の制約が21%だった。環境配慮を「重要」と考える人は71%に達する。一方、拡大と環境保全を両立できると「自信がある」と答えたのは55%にとどまった。16ポイントの開きは小さくない。前向きな期待の裏側で、足元の基盤に対する不安も確かに広がっている。

 なお、調査質問および回答結果は以下のとおりである。

Q1:今後5~10年における日本データセンター市場の見通しをどのように評価しますか。
・非常に前向き/やや前向き:64%
・横ばい:23%
・やや否定的/否定的:13%

Q2:日本におけるデータセンター需要の拡大に最も寄与している要因は何ですか。
・デジタルデバイスによるデータ量の増加:26%
・企業のクラウド導入:24%
・AI・高度分析ワークロード:21%
・5G・高速通信網の拡大:18%
・政府のデジタル施策:11%

Q3:スマートフォン、IoT、AIデバイスによるデータ増加は、データセンターの容量要件にどの程度影響していますか。
・非常に大きい/大きい:67%
・ある程度影響がある:22%
・あまり影響しない/影響しない:11%

Q4:現在、最も投資負担が大きいデータセンターインフラ要素はどれですか。
・サーバー:28%
・電力・電気インフラ(UPS、発電機):26%
・冷却・熱管理システム:18%
・ネットワーク機器:16%
・ストレージ:12%

Q5:日本におけるデータセンター拡張の最大の課題は何ですか。
・エネルギー消費・環境負荷:29%
・高額な設備投資・運用コスト:24%
・電力供給・送電網の制約:21%
・用地確保・立地条件:15%
・規制・コンプライアンス対応:11%

Q6:新規データセンター計画において、持続可能性や省エネルギーはどの程度重要ですか。
・非常に重要/重要:71%
・ある程度重要:19%
・あまり重要でない/重要でない:10%

Q7:今後、日本で最も成長が期待されるデータセンターのタイプはどれですか。
・クラウドデータセンター:30%
・コロケーションデータセンター:26%
・エンタープライズデータセンター:18%
・マネージドサービス型:16%
・ハイブリッド型:10%

Q8:新規導入において最も選好されるティアタイプはどれですか。
・ティア3:44%
・ティア4:22%
・ティア2:18%
・ティア1:9%
・わからない:7%

Q9:日本におけるデータセンター需要を最も牽引しているエンドユーザー分野はどれですか。
・銀行・金融・保険(BFSI):32%
・情報通信技術(ICT):24%
・電子商取引:18%
・メディア・エンターテインメント:14%
・政府・公共機関:12%

Q10:今後10年間で、日本のデータセンター産業が拡張と持続可能性を両立できると考えますか。
・非常に自信がある/ある程度自信がある:55%
・どちらとも言えない:26%
・あまり自信がない/自信がない:19%

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