「EVの充電は後回しでいい」 電力不足が迫る日本、巨大データセンター優先でクルマは社会の“手足”として扱われるのか

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データセンター市場の先行きに64%が前向きと答える一方、29%がエネルギー問題を最大の壁と指摘。EV普及とデジタル化の同時進行は、限られた電力を誰がどう使うかという国家的判断に直結している。

同じ資源の奪い合い

データセンターのイメージ(画像:写真AC)
データセンターのイメージ(画像:写真AC)

 日本は現在、電気自動車(EV)を普及させるために、充電器の整備や電池工場の建設、補助金の提供などを進めている。しかし、これらはすべて電力が十分にあることが前提だ。データセンターとEVには共通点がある。どちらも大きな電力を安定して必要とし、使用場所が特定の地域に集中しやすく、止まることが許されない点である。

 データセンターを運営する側では、電力関連設備の費用が全体の26%を占める。加えて、解決すべき課題として、エネルギー問題が29%、送電網の不足が21%と挙げられている。これらは、電力を運ぶ枠組みがすでに限界に近いことを示す。

 かつては、広い土地さえあれば工場を建てられた。しかし今は、送電網に余裕がなければ、どれほど優れたクルマを作っても、それを動かす力は手に入らない。土地の価値だけでは不十分なのだ。

 人工知能を動かすデータセンターは、24時間休むことなく電力を消費する。一方、EVの急速充電は短時間で莫大な電力を必要とする。同じ時間、同じ場所で電力を奪い合えば、強者と弱者の差が生まれる。常に動かす必要があるデータセンターが優先され、移動が可能なEVは電力不足時に充電を止められる不安定な立場に置かれる恐れがある。

 これまで自動車メーカーの競争相手は技術やブランド力だった。しかし、クルマが電気で動く時代では、勝負の基準は変わる。どれだけ電力を優先的に回してもらえるか、電力設備が整った場所を確保できるかが、新たな競争力になる。これは自動車メーカーだけで決められる問題ではない。

 同調査によれば、データセンターを最も活用しているのは、銀行や保険などの金融分野が32%、ITや通信分野が24%である。これらは社会の基盤を支える分野であり、一瞬でも止まれば国全体が混乱する。電力不足が起きた際、どちらを優先すべきかとなれば、個人の移動より社会の基盤が優先されるのは避けられない。

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