「EV時代でも手放しません」 223人の調査で分かったクラシックカーの正体――効率至上主義に抗う“反転市場”の台頭か

キーワード :
EVシフトによる効率化の裏で、旧車の価値が「資本」へと変貌している。オーナー調査では50.2%が造形美、30.9%が資産性を重視。移動の道具が減価するなか、歴史的背景を持つモデルはインフレ耐性を備えた実物資産として選別が進む。趣味の枠を超え、文化遺産としての地位を確立できるか。市場の攻防を追う。

いくつかの道筋

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 近い将来、クラシックカー市場がすぐに上向くとは考えにくい。維持するための出費はかさみ、規制の網はさらに狭まる。何より、複雑な機械を扱える職人の手が足りない。こうした逆風は、市場の存続に強い圧力をかけている。ただ、これは単なる衰退ではない。車が持つ「価値」の置き換わりが、いよいよ本番を迎えたということだろう。

 手入れの負担に耐えられないような、かつての大衆車は姿を消していく。一方で、歴史の裏付けがある一握りの稀少なモデルは、厳しい選別を経て、さらに価値を高めていくはずだ。それに伴い、修理や保管、国をまたぐ輸送といった周辺の仕事も、富裕層の求めに応じる高単価なビジネスへと姿を変え、新たな稼ぎの場となっていく。

 これから先の市場は、いくつかの道に分かれていくだろう。

 ひとつは、限られた愛好家に支えられる「特別な遊び」としての道だ。公道を走る機会が厳しく制限されるなかで、エンジンの震えや音を楽しむ特権的な娯楽となる。かつて移動手段だった馬が「乗馬」という趣味に変わったように、高い社会的な地位を保ち続けるに違いない。

 もうひとつは、投資の対象としての道だ。世界中の投資マネーが流れ込み、車はもはや移動の道具ではなく、価値を蓄えるための財産に変わる。あえて走らせないことで価値を守るという、車本来の目的とは真逆の考え方が、当たり前の理屈としてまかり通るようになる。

 そして最後は、法律の後押しを受ける「文化財」としての道である。国から特別な扱いを受ける代わりに、持ち主には歴史の遺産を守り続ける義務が課される。どの道が主流になるかは、これからの政策やエネルギーの値段、そして何より、非効率な機械をどこまで許せるかという社会の匙加減に委ねられている。

全てのコメントを見る