「EV時代でも手放しません」 223人の調査で分かったクラシックカーの正体――効率至上主義に抗う“反転市場”の台頭か
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EVシフトによる効率化の裏で、旧車の価値が「資本」へと変貌している。オーナー調査では50.2%が造形美、30.9%が資産性を重視。移動の道具が減価するなか、歴史的背景を持つモデルはインフレ耐性を備えた実物資産として選別が進む。趣味の枠を超え、文化遺産としての地位を確立できるか。市場の攻防を追う。
コミュニティという基盤

「同じ趣味や価値観を持つ人たちが集まる、いわば拠り所のような存在」。調査で16.6%の人がそう答えた事実は、この市場の土台が、単なる「モノ」からそれを取り巻く「繋がり」へと移り変わっていることを物語る。クラシックカーの値打ちは、もはや車体だけで完結するものではない。イベントやツーリング、あるいは専門的な直し方や部品のやり取りといった、人の輪があって初めて成り立つものだ。
車の電動化が進むなか、最新のモデルは高度にデジタル化され、持ち主が手を入れる余地はほとんど失われてしまった。だからこそ、仕組みを理解し、自分の手で直せる旧車の特性が際立ってくる。メーカーの部品が手に入らなくなった領域では、持ち主同士で知識や珍しい部品を融通し合う。そんな自律的な助け合いの仕組みこそが、車を動かし続けるための、実質的な支えになっている。
こうした繋がりは、情報の偏りを埋め、その車が本物であることや、これまで歩んできた歴史を裏付ける役割も果たす。腕の良い職人が減りゆくなかで、アナログな技を持つ人と繋がっていることは、持ち主にとって価値を守るための何よりの財産だ。車を持つことは、今や特定の技術集団や情報網に加わるための「仲間入りの証し」を手にすることに近い。価値の源泉は、車体そのものから、その周りにある人々の結びつきの強さへと、着実に移り変わっている。