「EV時代でも手放しません」 223人の調査で分かったクラシックカーの正体――効率至上主義に抗う“反転市場”の台頭か
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EVシフトによる効率化の裏で、旧車の価値が「資本」へと変貌している。オーナー調査では50.2%が造形美、30.9%が資産性を重視。移動の道具が減価するなか、歴史的背景を持つモデルはインフレ耐性を備えた実物資産として選別が進む。趣味の枠を超え、文化遺産としての地位を確立できるか。市場の攻防を追う。
規制と保存の緊張

排ガス削減を何よりも優先する今の政治の流れのなかで、ガソリン車などの内燃機関を持つ車は、制度の上で肩身の狭い思いをしている。燃料の値上がりや部品の不足、さらには都市部での走行制限など、車を維持するための負担は構造的に膨らむ一方だ。それでも調査によれば、「歴史の重み」を感じる人が35.9%に達し、「文化財として守るべき」という声も21.5%にのぼった。この結果は、クラシックカーを移動のためだけの道具ではなく、後世に引き継ぐべき産業の遺産として捉える認識が、オーナーの間で広がっていることを物語っている。
欧州では古い車を「歴史的な遺産」として認め、税金を安くしたり走行を特別に認めたりする仕組みが整っているが、日本はその対応が遅れている。特に、登録から長い年月が経った車への一律の増税は、本来なら国内に残すべき文化的な価値を持つ車が、より高い評価を求めて海外へ流れ出してしまう恐れを生んでいる。これからは、カーボンニュートラル燃料の活用や走る場面を限定するなど、環境への配慮と文化の保存をどう両立させるか。そうした法的な枠組みを整えることが欠かせないだろう。
アンケートで最も多かった答えは、「趣味として共存していく」の27.3%だった。これは、所有者がクラシックカーを公共のインフラとしてではなく、あくまで個人の意思で選ぶ嗜好品として位置づけていることを示している。ただ、「文化財として守る」という21.5%との差はわずかだ。個人の楽しみとして許容するのか、それとも社会全体の共有財産として公に守るのか。この認識の揺れは、将来、エンジンの稼働が厳しく制限される局面が来たとき、走り続けるための正当性をどこに求めるのかを左右する大きな論点になりそうだ。