「EV時代でも手放しません」 223人の調査で分かったクラシックカーの正体――効率至上主義に抗う“反転市場”の台頭か
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EVシフトによる効率化の裏で、旧車の価値が「資本」へと変貌している。オーナー調査では50.2%が造形美、30.9%が資産性を重視。移動の道具が減価するなか、歴史的背景を持つモデルはインフレ耐性を備えた実物資産として選別が進む。趣味の枠を超え、文化遺産としての地位を確立できるか。市場の攻防を追う。
効率と情緒の分岐

EVは、いかに効率よく移動するかを突き詰めて作られている。静かさや加速の鋭さ、維持費の読みやすさといった尺度は、きわめて合理的だ。それに対して、クラシックカーが選ばれる理由は、まったく別の地平にある。自分の手で操る感覚や、機械が直接応えてくれる手応え。調査では「五感を揺さぶる走りの体験」を求める声が30.9%にのぼり、利便性とは無縁の価値を愛する人たちの姿が浮かび上がった。
ここで起きているのは、価値観そのものの分断だ。移動の道具としての正解がEVに集約され、車の中身がソフトウエアへと移り変わるほど、操作の密度を求める層はあえてその対極へと向かう。デジタルによる制御が入らず、機械特有の熱や震えを肌で感じる。効率がすべてとされる社会だからこそ、そうした剥き出しの挙動が、特有の安らぎや充足感を生んでいるのだろう。
多くのEVは、あくまで使い切るための道具として扱われる。技術の進みが早いため、数年も経てば価値が目減りしていくのが避けられない。一方で、クラシックカーは数が限られているからこそ値が落ちにくく、時には上がることもある。今回の調べでも「資産としての重み」を認める人が30.9%に達し、将来のあり方についても26.0%が資産性を重く見ている。
もっとも、古い車なら何でもいいわけではない。市場の目はすでに厳しくなっており、その車がたどってきた歴史や保存の状態によって、価格の差は広がる一方だ。世の中を走る台数そのものは減っていくかもしれないが、確かな物語を持つモデルは、物価の上昇にも強い「形のある資産」として、さらに価値を高めていく可能性を秘めている。