「リチウム利権」の終焉? EV価格を左右するナトリウム量産――利益率25%の鉱山大国から主導権は奪還されるのか

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100億元を投じたCATLのSIB量産が動き出す。リチウム価格は短期で50%超変動し、上流の利益率は15~25%へ拡大した。だが2034年に向け市場は構造転換期に入る。資源優位から製造効率へ――電池覇権の行方を追う。

完成車と用途の拡大

EV(画像:Pexels)
EV(画像:Pexels)

 SIBの採用で電池コストが下がれば、EVの車両価格にも引き下げ余地が生まれる。高価格が普及の壁になってきたが、SIBは都市部の短距離需要を着実に取り込む可能性がある。とりわけ低温性能は特徴的だ。マイナス30度での放電出力はLFPの約3倍に達し、マイナス40度でも容量の90%以上を維持する。北米や北欧、中国北部といった寒冷地市場が現実的な対象になる。

 これまで内燃機関車が強みを持っていた地域で、EVが実用面で肩を並べることになる。車両価格の低下に加え、高価なヒートポンプや大がかりな予熱機構を簡素化できれば、車両全体のコストも抑えやすい。

 下流の収益源も広がる。車両単体の利幅だけでなく、定置型蓄電や商用利用、電力インフラとの連携といった分野が視野に入る。需要は地域ごとに分かれ、全天候で使える実用車の市場が形成されていく。車載用途で性能が落ちた電池を電力網の蓄電へ回す循環モデルを築いた企業が、二次利用市場の利益を手にすることになる。

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