「若者だけの街ではありません」東急百貨店跡地に生まれる巨大建物の正体――渋谷再開発が辿り着いた意外な着地点とは
迷走の「サグラダ・ファミリア」は2034年に終焉へ。百年に一度の渋谷再開発は、東急本店跡地の新事業を機に「遊ぶ」から「住む」街へ質的変容を遂げる。日本初進出の高級ホテルを核に、隣接する松濤の富裕層を狙う新戦略の勝算は。飽和する商業・オフィス市場を脱し、東急が描く次なる渋谷の真価を問う。
「サグラダファミリア状態」の終息局面

渋谷駅周辺では、「100年に1度」とされる大規模再開発が長期間にわたり続いている。駅を訪れるたびにどこかで工事が行われ、ある場所が完成しても、間を置かず別の区画で工事が始まる。全体像が見えにくい状況が続いてきた。
その様子は、100年以上にわたり建設が続くスペイン・バルセロナの教会になぞらえられ、「サグラダファミリア状態」と揶揄されることもある。
もっとも、計画は当初想定より遅れているものの、事業は着実に前進している。渋谷駅周辺では、2012(平成24)年に東急文化会館跡地を再開発した「渋谷ヒカリエ」が開業した。2018年には東横線旧地上駅舎跡地南側の「渋谷ストリーム」と、東横線渋谷~代官山間の地上線路跡を活用した「渋谷ブリッジ」が誕生した。2019年には旧東急不動産本社ビルなどを再開発した「渋谷ソラスタ」、旧東急プラザ渋谷跡地の「渋谷フクラス」が開業している。2024年には渋谷駅桜丘口一帯を開発した「渋谷サクラステージ」、さらに「渋谷ヒカリエ」隣接地の「渋谷アクシュ」も加わった。
今後は、東急百貨店本店跡地を開発する「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」が2029年に完成予定だ。東急東横店跡地で段階的に開業してきた「渋谷スクランブルスクエア」も、2031年度までに全面完成を予定している。「ハチ公広場」の整備を含め、2034年度までには現在の「サグラダファミリア状態」はおおむね解消する見通しだ。