「若者だけの街ではありません」東急百貨店跡地に生まれる巨大建物の正体――渋谷再開発が辿り着いた意外な着地点とは

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迷走の「サグラダ・ファミリア」は2034年に終焉へ。百年に一度の渋谷再開発は、東急本店跡地の新事業を機に「遊ぶ」から「住む」街へ質的変容を遂げる。日本初進出の高級ホテルを核に、隣接する松濤の富裕層を狙う新戦略の勝算は。飽和する商業・オフィス市場を脱し、東急が描く次なる渋谷の真価を問う。

「松濤」を背後に抱える「もうひとつの渋谷」

「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」外観イメージ(画像:東急)
「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」外観イメージ(画像:東急)

 同プロジェクトが既存の渋谷駅周辺の再開発と機能面で異なる背景には、立地環境の違いがある。かつての東急百貨店本店は、駅直結や至近距離に商業施設が集積するエリアからやや離れ、喧騒を避けた場所に位置していた。背後には高級住宅街・松濤が広がる。

 周辺には松濤美術館や戸栗美術館が立地し、足を延ばせば東京大学の駒場キャンパスも控える。商業集積地である渋谷駅前とは異なる環境が形成されてきた。

 東急グループは東急文化村を通じ、この地域の文化振興に関わってきた。50年以上にわたり地元住民を中心に支持を集めてきた東急百貨店本店も、地域における消費文化の担い手だったといえる。

 地元にとっては見慣れた風景でも、全国的な知名度を持つ繁華街・渋谷駅の徒歩圏内に、文化施設が集まり、落ち着いた大人の街並みや居住エリアが存在することは、必ずしも広く知られているわけではない。

 東急グループは、この一帯を渋谷駅前とは異なる性格を持つ「もうひとつの渋谷」と位置付けている。一方で、隣駅の代官山が渋谷とは距離を置いたブランドを確立していることを踏まえれば、同プロジェクトでもあえて「渋谷」の名称を外す選択肢があった可能性もある。

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