「若者だけの街ではありません」東急百貨店跡地に生まれる巨大建物の正体――渋谷再開発が辿り着いた意外な着地点とは
迷走の「サグラダ・ファミリア」は2034年に終焉へ。百年に一度の渋谷再開発は、東急本店跡地の新事業を機に「遊ぶ」から「住む」街へ質的変容を遂げる。日本初進出の高級ホテルを核に、隣接する松濤の富裕層を狙う新戦略の勝算は。飽和する商業・オフィス市場を脱し、東急が描く次なる渋谷の真価を問う。
スモールラグジュアリーホテルの妥当性検証

話を渋谷駅周辺の再開発全体に戻す。
一連の再開発は、老朽化が進んだ駅設備の大規模改修や、線路地下化によって生まれた地上空間の活用、長年の積み重ねのなかで生じた都市構造のゆがみの是正、さらに繁華街としての集客力に比べ不足していたオフィスやホテル機能の補完など、複数の課題を解決する目的で進められてきた。
もっとも、すべてのプロジェクトが順調とはいい切れない。名称は挙げないが、オフィスフロアは堅調でも商業施設が苦戦している事例が報じられている。再開発の最大の担い手である東急グループについても、銀座や新宿での事業をめぐり否定的な評価が取り沙汰され、インターネット上では厳しい声も見られる。
「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」で注目されるのは、進出が決まったスモールラグジュアリーホテル「The House Collective」の存在だ。富裕層を主な対象とするホテル需要を取り込む狙いとみられるが、インバウンド需要は現状こそ堅調でも、為替動向など外部環境の影響を受けやすい。加えて、客室規模が限定的である以上、渋谷エリア全体の宿泊需要不足を大きく補う存在になるとは考えにくい。
商業施設や集合住宅の詳細は今後順次明らかになる見通しだ。立地特性を踏まえれば、既存の再開発プロジェクトとは異なる方向性を打ち出せるかが焦点となるだろう。