「トヨタ依存」からの決別?――スバル2500億円の決断、BEV自社生産で奪還する「製造主体」のプライド
自社生産の意味

共同開発モデルの生産拠点は、第1弾のトヨタ・元町工場から、第2弾ではスバル・矢島工場へと移った。対象となるのは、トヨタ・bZ4XツーリングやbZウッドランド、スバル・アンチャーテッドに加え、トヨタ・C-HRなども含まれる。
第1弾はトヨタに生産を委ねていたが、第2弾からはスバル自身が組み立てを担う体制となった。この変化は、トヨタの生産網に依存する立場を脱し、製造の主導権を自ら握ったことを意味するだろう。共同開発の枠組みを保ちつつ、自社工場で生産することで、車体剛性の管理や品質の細部に至るまでスバル基準を徹底できるようになった。
この力関係の変化は、製品発表の順序にも表れている。第1弾のトヨタ・bZ4Xは2021年4月に上海で公開され、スバルは後追いで情報を出す形だった。しかし第2弾では、スバルがトヨタに先んじて発表しており、開発現場で実質的に主導権を握り始めたことを示している。トヨタ提供の骨格を用いながら、乗り味や操作感をスバル流に調整する、慎重かつ計算された経営判断が透けて見える。
スバルは水平対向エンジンやシンメトリカルAWD、足回りの調整を通じて、ブランドの核を「走り」に置いてきた。トレイルシーカーはこれを具現化し、独自の四輪駆動システムを標準装備する。米国仕様では375馬力の高出力を実現し、航続距離は約450kmに達する。室内には14インチの大型モニターを備え、日常の実用性も確保されている。
「SUBARU 2025方針」で示された技術開発の方向性は、次世代プラットフォームと制御統合ECU、そして新しい動力源の組み合わせによる効率化にある。特に注目すべきは、BEV開発で磨き上げた制御統合ECUの進化だ。
このシステムは、内製AIを組み込んだ次世代アイサイトと車両の挙動を高度に連携させ、安全性と走りの楽しさを両立させる基盤となる。BEVとエンジン車のプラットフォームを統合することで、製品群を効率よく拡大できるのも特徴だ。共通の土台でコストを抑えつつ、ソフトウェアによってスバル特有の動的質感を生み出す手法は、開発現場における大きな変化といえる。