高性能の代名詞「ターボチャージャー」はなぜ廃れ、いかにして現代に甦ったのか
かつては世界の自動車シーンにおいてハイパフォーマンスの代名詞というべき存在だった「ターボチャージャー」。技術開発の歴史とともに変化するその役割を追う。
トップスポーツモデルにターボは必須
その後、ターボ車は1973(昭和48)年のBMW2002ターボを通じて、まずはヨーロッパ市場で市販モデルが復活。さらに1975年のポルシェ911ターボが続いた。
ポルシェは市販車に先立ち、1972年からワークスレースカーの917に強力なターボエンジン仕様を投入。これは1970年代を通じて参戦していたカテゴリーの勢力図を書き換えるまでに至った。
またアメリカでは1960年代後半から1970年代の終わりまで、オッフィー(オッフェンハウザーの略)と呼ばれたターボエンジンがレース用として長く最強の座に君臨した。
こうした「ターボ = パワー」という流れの延長線上にあったのが、1979年の日産セドリック/グロリア・ターボに端を発するわが日本でのターボ車ブームであり、トップスポーツモデルはターボが必須であるという図式は1990年代の終わりまで続いた。
新たな「ダウンサイジングターボ」
しかしこうしたターボ車ブームも、21世紀に入って段階的に強化された排気ガス規制の影響もあって、ごく一部のモデルを除き順次市場から消えて行くこととなる。
それが復活し始めたのは2010(平成22)年前後からのこと。ここでのフォルクスワーゲンTSIやフォード・エコブーストなどのターボエンジンはダウンサイジングターボという新たなコンセプトが導入されていたのが特徴である。
これは例えば3リッタークラスの自然吸気エンジンを搭載していたモデルには2リッタークラスのターボを、同じく2リッタークラスの自然吸気エンジンには1リッタークラスのターボを、といった具合だ。
小排気量で大排気量と同等のパワーを発揮させるという、かつての絶対的なパワー至上主義とは異なる、ある種の効率アップ重視のスペックとなっていたのが印象的だった。