「スズキ一強、マツダは赤字500億円」――中堅4社にみる“全方位経営”の終焉と生存圏の引き直し

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2025年度上期決算が出揃い、中堅4社の明暗が鮮明になった。スズキは営業利益2,700億円超、利益率10%に迫る一方、マツダは500億円規模の赤字。関税や円高といった逆風下で差を分けたのは、市況ではなく各社が選び、捨てた戦略だった。

引かれた境界線の内側で磨かれるもの

三菱自動車のロゴ(画像:EPA=時事)
三菱自動車のロゴ(画像:EPA=時事)

 4社を並べてみると、業績がどう動いたかの背景にある理由は、各社がどこに足場を置いてきたかの違いだ。外部環境よりも、経営陣がどう判断したかの方が、結果を左右している。スズキは軽さと効率に徹した。スバルと三菱自動車は市場を絞り込んだ。マツダは将来への投資を続けながら、自社の存在理由を確かめる段階にある。

 もちろん、これは今の時点での話にすぎない。環境が変われば、評価が逆転する可能性もある。だが、発表された数値を見ていくと、各社が何を先に動かし、何を後に回してきたかという積み重ねが、実績として出ている。

 この差は偶然ではなく、「あの場面でこう動く」という方向の違いから生まれた。各社は、どこで戦うかだけでなく、そこで何を上げるかも決めている。

 そこが可能になった背景には、他社との提携がある。電動化や基盤技術という共通の部分は協力で補い、自社は顧客が「このブランドらしい」と感じる部分にリソースを注いでいる。スズキはインドを拠点に軽さと低コストを極限まで磨く。スバルは北米の高付加価値SUVに経営資源を集中し、その稼ぐ力を次の技術につなげる。三菱自動車はアセアンを利益を生む拠点として固める。マツダは、高単価なモデルを中心に、台数ではなく「質」への転換を進める途中にある。

 どの企業も、全方位での戦いを避け、自ら選んだ領域で生き残るための強みを続けて磨いているのだ。

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