電動キックボードが「若者の健康」を奪う? タイパ至上の“代償”、スペイン事故3割増の裏で「リスクは公助」という不平等

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電動キックボードは都市の日常に溶け込んだが、その代償は小さくない。歩行3.7METに対し乗車は1.6MET。事故入院は34%増。利便性の裏で、健康と都市の活力を削る構造が浮かび上がる。

便利さの代償

「便利さ」の代償「電動キックボード」。
「便利さ」の代償「電動キックボード」。

 便利という言葉が持つ甘い響きは、しばしば重要な不利益を隠してしまう。電動キックボードの普及が突きつけた現実は、移動の効率化が必ずしも人間の充足に結びつかないという皮肉な事実だ。時間効率という考え方に縛られ、歩いたり自転車に乗ったりする自発的な体の運動を手放すことは、個人の健康という財産を安売りする行為に他ならない。

 経済的な合理性の観点から見れば、電力に頼って体を固まらせる移動の仕方は、将来的に膨大な医療費や社会的な損失を招く負債である。私たちは、移動を

「目的地にたどり着くための苦痛な時間」

と捉える短絡的な考え方を捨て、体を動かす喜びをともなう、生命力にあふれた都市の姿を追い求めるべきだろう。

 自転車という、人間の能力を広げつつ健康をもたらす優れた手段が、既に目の前にある。新しい技術に飛びつく前に、まずは既にある手段が持つ計り知れない価値を正しく評価し、それを最大限に生かせる社会の基盤を整えることが先決ではないか。目先の数分を惜しんで、一生続く健康や安全を損なうような選択は、到底合理的とはいえない。

 今後の移動のあり方を決めるのは、最新の流行ではなく、それがどれだけ人間の生命を尊重し、社会全体の利益に寄与するかという視点である。効率の奴隷になるのではなく、移動の主体としての誇りを取り戻すこと。それが、これからの時代を生きる私たちに課せられた課題となる。

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