電動キックボードが「若者の健康」を奪う? タイパ至上の“代償”、スペイン事故3割増の裏で「リスクは公助」という不平等

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電動キックボードは都市の日常に溶け込んだが、その代償は小さくない。歩行3.7METに対し乗車は1.6MET。事故入院は34%増。利便性の裏で、健康と都市の活力を削る構造が浮かび上がる。

身体活動の低下

電動キックボード(画像:写真AC)
電動キックボード(画像:写真AC)

 英国のケント大学の研究チームが2024年12月に発表した研究は、電動キックボードを長時間、頻繁に使うことで体を動かす機会が減る可能性を示した。42人の健康な参加者(男性25人、女性17人)がトレッドミルの上で実験に参加した。10分間の休憩を挟んで、2つの課題に取り組む。ひとつは時速4.8kmで15分間歩くこと。もうひとつは時速12kmに設定された電動キックボードに15分間乗ることだ。

 研究チームが呼気のガスを分析し、エネルギー消費量であるMET(代謝当量)を測定したところ、時速4.8kmの歩行は3.7MET(中程度の運動)だったが、時速12kmの電動キックボード乗車は1.6MET(軽い運動)にとどまった。横になっている状態でも1.0METを消費することを考えると、電動キックボードに乗っているときの体への負荷は、安静時とほとんど変わらない。この数値は、車を運転したり公共交通機関を使ったりするときの1.3METよりは大きいものの、自転車の8METや電動自転車の4から7METと比べれば大幅に少ない。

 このデータが示すのは、電動キックボードは自転車の代わりになる健康的な移動手段ではなく、体を守る機能を持たない小さな自動車のようなものだということだろう。移動の効率という目先の利益を優先し、本来保つべき健康を無意識に削り取る行為は、将来の医療費増大という負担を都市に積み上げていく。便利さと引き換えに個人の生命力を奪う構造は、移動市場における歪んだ取引といえる。

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