電動キックボードが「若者の健康」を奪う? タイパ至上の“代償”、スペイン事故3割増の裏で「リスクは公助」という不平等

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電動キックボードは都市の日常に溶け込んだが、その代償は小さくない。歩行3.7METに対し乗車は1.6MET。事故入院は34%増。利便性の裏で、健康と都市の活力を削る構造が浮かび上がる。

高い事故率

電動キックボード(画像:写真AC)
電動キックボード(画像:写真AC)

 健康を保つ妨げや、人とのつながりの質の低下に加え、小型の移動手段の普及は、事故件数の心配すべき増加を招いている。スペイン交通総局の統計によると、2024年にはスペインで個人用の移動車両(主に電動キックボード)による事故で459人が入院しており、これは2023年より34%増えた。この期間中、死亡者数は10人から19人と

「ほぼ倍増」

している。一方、ドイツでは電動キックボードでの死亡者数が27%増え、負傷者の半数は25歳未満だった。

 2022年のノルウェーの研究では、若者の間では電動キックボードによる事故が自転車よりも多く、

・複雑骨折
・頭の外傷
・脊髄の損傷

などの重い怪我を引き起こしていると報告されている。車両の速度、小さな車輪の構造的な不安定さ、そして専用の道路設備の不足が重なって、電動キックボードでの移動はこれまでの交通手段よりも怪我をする確率が高いことが明らかになった。

 物理的な車両の特徴と、既存の道路環境との間にある埋められない溝は、事故の深刻さを増す。小さなタイヤは路面の割れ目やわずかな段差に弱く、動きの乱れを制御しきれないまま乗っている人が硬い路面へと直接放り出される。これは移動の便利さを最優先し、衝突時の衝撃を吸収することを考えない車両が公道に出された当然の結果ともいえるだろう。

 事故によって生じる医療費や将来の働き手の損失といった費用は、事業を展開する側ではなく、社会保障という公的な財産によって肩代わりされている。利益が私有化される一方で、危険が公的に押し付けられる歪んだ経済の仕組みが、この急速な普及の裏にある。

 また、誤った安心感、ヘルメットをかぶる人の少なさ、交通安全教育の不足、そして混雑した都市部における若者の運転技術の未熟さも、高い事故率を支える要素になっている。技術の社会への導入が安全管理の枠組みを追い越して進む現状は、都市における移動の安全性を根底から揺るがしているのだ。

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