電動キックボードが「若者の健康」を奪う? タイパ至上の“代償”、スペイン事故3割増の裏で「リスクは公助」という不平等

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電動キックボードは都市の日常に溶け込んだが、その代償は小さくない。歩行3.7METに対し乗車は1.6MET。事故入院は34%増。利便性の裏で、健康と都市の活力を削る構造が浮かび上がる。

失われていくもの

電動キックボード(画像:写真AC)
電動キックボード(画像:写真AC)

 調査結果を見ると、歩行や自転車の代わりに電動キックボードを長く使い続けると、体を動かす機会が減り、長期的な健康に悪い影響が出る可能性が浮かび上がる。電動キックボードや電動自転車は、自分で体を動かす移動手段ではなく、受け身で補助的なものだ。歩いたり自転車に乗ったりする機会を奪うことで、日常の運動量を著しく減らしてしまう。

 若者が15分の散歩を5分の電動キックボード利用に置き換えると、日々の体を動かす時間と、周囲の環境とつながる大切な部分を失う。何百万人もの若者がこれに当てはまれば、長期的な健康への危険が高まり、公衆衛生への悪影響は無視できなくなるだろう。

 これは個人の健康問題にとどまらず、都市における人の流れの質が変わることを意味している。高速で都市を通り抜ける移動の仕方は、路面の状態や周囲の気配を感じ取る機会を奪い、都市空間との密な対話を遮ってしまう。

 電動キックボードの利用が社会的なつながりに及ぼす悪影響も心配されている。これは極めて個人的な移動手段であり、公共交通機関などでの移動によって得られる人との交流の機会を減らし、会話や体験を共有する場を失わせる。歩くことで生まれていた店への立ち寄りや、他人との不意な目の交差といった、都市の活力を支える偶然の接触を、時間効率を最大にするという考え方が排除していく。

 移動が短くなればなるほど、都市の公共空間は意味を失い、個人を目的地へ運ぶだけの無機質な通路に変わっていくのかもしれない。

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