「中国嫌い」が日本を孤立させる――86%嫌悪の背後で、世界は「EVの実利」優先? 感情論に固執する日本が市場を覆い隠す
世界で中国製EVと関連技術の存在感が急速に高まる一方、日本の世論は大きな温度差を抱えたままだ。25か国調査や86%という対中不信の数字を手がかりに、移動産業を巡る国際評価の変化と、日本が直面する市場リスクを読み解く。
資源と技術に刻まれた依存構造

EVなど次世代の移動手段を支えるバッテリーには、多様な鉱物資源が使われている。その精製を担う国や地域は限られており、供給が途切れた瞬間に完成車メーカーの生産が立ち行かなくなる不安を常に抱えている。
加えて、高度な演算を受け持つシステムオンチップ(SoC)や車載OSといった基盤部分でも、特定地域のライブラリに依存する度合いは極端に高い。こうした状況下で技術の切り離しを進めれば、開発費が一気に膨らむのは避けられない。
中国で生産される低価格のリン酸鉄リチウム(LFP)電池の供給網から特定の陣営を外した場合、車両の原価が跳ね上がり、競争力を保つこと自体が難しくなる展開も現実味を帯びる。
供給網のもろさは、特定陣営が進めてきた徹底した垂直統合の結果でもある。資源の確保から精練、セルの生産、車両を制御する中核部分に至るまでを自国の枠組みでまとめ上げる手法は、他国が簡単には追いつけない水準のコスト優位を生んだ。
これまで日本企業が重ねてきた取引先との価格交渉による利益の積み上げは、この構造の前では効力を発揮しにくい。LFP電池を排除する判断が現実的でないのは、価格面に限った話ではない。その規格を前提とした車両の組み立てや回収の仕組み、さらには中古市場まで含めた広い枠組みが、すでに世界で共有されているためだ。
この結びつきを断ち切ろうとすれば、産業の土台そのものを壊すほどの支出を覚悟しなければならず、企業にとっては利益を手放す選択に直結するだろう。