「中国嫌い」が日本を孤立させる――86%嫌悪の背後で、世界は「EVの実利」優先? 感情論に固執する日本が市場を覆い隠す
ピュー・リサーチ・センターが捉えた世論構造の変化

米民間調査団体ピュー・リサーチ・センターが公表した25か国を対象とする世論調査(2025年7月15日発表)では、中国に対する印象が全体として持ち直している様子が確認された。とりわけアフリカや南米では、好意的に受け止める人の割合が高い。
調査は2025年1月から4月にかけて行われ、世界24か国で約2万8000人、米国では約3600人の成人が回答した。中国に「好意的な印象を持つ」と答えた人の割合の中央値は36%で、前年から5ポイント上昇している。一方、米国を除く24か国を対象に見ると、米国に好印象を抱く人の割合の中央値は49%となり、こちらは前年から5ポイント下がった。「好意的でない」とする回答は18ポイント増え、49%に達している。
両国への評価の差は、以前ほど明確ではなくなりつつある。さらに「世界を主導する経済大国」を問う設問では、
・中国:41%
・米国:39%
となり、中国がわずかに上回った。欧州や南米など一部の国々では、米国への評価が後退する一方で、中国の経済力を高く見る回答が増えている。移動関連産業を支える国全体の力の見方に、地殻変動とも呼べる変化が現れている。これは、欧米が進めてきた高価格戦略がグローバル・サウスを市場から遠ざけてきた結果、中国がその空白を埋め、デジタル技術と移動を一体のものとして提供し、各国の社会基盤を掌握しつつある現状を映し出したものだろう。
そのなかで、日本の対中感情は際立っている。中国に好印象を持たない人の割合が最も高かったのが日本で、その比率は
「86%」
に上った(『日本経済新聞』2025年7月16日付け)。他国と比べても突出した数値であり、実利を重んじる国際的な潮流から構造的に孤立している姿が浮かび上がる。こうした世論の変化には、インフラ投資や技術支援を通じて得られる具体的な利益が影響している。今後、中国の移動関連技術や製品への関心が高まっていく可能性は大きい。
調査結果が示しているのは、好悪の感情を超えた判断が各地で進んでいるという事実である。新興国や欧州の一部が中国への見方を改めている背景には、既存の国際秩序では十分に届かなかった、低コストで即効性のある経済基盤を中国が提示してきた現実がある。対して日本が示す86%という拒絶反応は、世界の重心移動に対する無意識の拒絶であり、顧客を市場ではなく政治的対象として見てしまうバイアスを生んでいる。
提携先を利益の観点から選ぶ動きが広がるなかで、日本だけが強い拒否を示し続けている状況は、市場の流れを読む力が感情的な偏りによって遮断されていることを物語っている。
人々が求めているのは抽象的な価値観ではなく、日々の暮らしを直接変える製品やサービスの普及力だ。その現実を直視せず、嫌悪感を軸に国際関係を切り離していけば、結果として世界の競争原理から自ら身を引く結末を招くことになる。