2024年12月23日の残像――なぜ「世紀の握手」は必然だったのか【短期連載】日産はホンダと再び歩みを進めるべきか(1)

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日産とホンダが共同持株会社設立で経営統合を検討、三菱自も参画可能性を探った「世紀の握手」は、世界販売800万台規模と株価急上昇で市場に衝撃を与えた。日産は営業利益-3000億円の苦境に直面し、競争激化するBEV・自動運転開発環境が背景にある。

ウェイモの集中投資が示す格差

日産自動車のロゴマーク(画像:時事)
日産自動車のロゴマーク(画像:時事)

「世紀の握手」の背景には、日産の業績不振に加え、バッテリー式電気自動車(BEV)や自動運転、ソフトウェア定義型車両(SDV)といった競争環境の変化がある。例えばSDVのシステムは運転制御系とインフォテインメント系に大きく分かれ、運転制御系はさらに認知、判断、制御の分野に分かれる。さらにソフトウェアとハードウェアもある。

 自動車メーカーが単独で研究開発を行うには、人的資源、設備、資金のすべてで限界があり、それぞれの分野を専門とする外部企業やグループ企業との連携が不可欠となる。ここで主要メーカーの研究開発費を比較してみると、トヨタは1兆2023億円、日産は6099億円、ホンダは9763億円、フォルクスワーゲン(VW)は217億ユーロ(約4兆円)となる。日産もホンダも単独ではトヨタに及ばず、VWにいたっては約4兆円規模で、トヨタですら追いついていない。

 IT企業に目を向けると、自動運転技術のトップランナーであるウェイモは、15年間の研究開発期間と80億ドル(約1.3兆円)以上の研究開発費を投入している。年換算では決して大きな額ではないが、自動運転技術に集中できる強みがある。研究開発費が潤沢な海外の自動車メーカーや、人的資源・設備・資金を特定分野に集中できるIT企業に対して、焦燥感や敗北感を覚えるのは自然なことだ。

 自動車メーカーを悩ますのは研究開発費の増加だけではない。BEV需要の伸び悩みも大きな課題である。ホンダが2025年に公表した「2025ビジネスアップデート」では、2030年時点のグローバルでのEV販売比率が従来の目標である30%を下回る見通しとしている。さらにその先の推移も不透明だ。BEVへのシフトは、巨額投資を続けながら先行きの不透明さにも直面する「二重の負担」を伴う。

 研究開発領域の拡大、異業種からの参入、先行き不透明な市場環境を考えると、自動車メーカーが単独で道を切り開く時代はすでに終わっている。ヒト・モノ・カネを有効活用する観点からも、自動車メーカー同士の戦略的パートナーシップは理にかなった選択であった。

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