「税金213億円」は何だったのか――東京・十条駅前再開発、莫大な予算の先に現れた“明るい廃墟”の正体とは

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東京都北区十条の39階建てザ・タワー十条は578戸中394戸が販売済みだが、1~2階商業施設ジェイトモールは空きテナントが目立ち、街の賑わい創出には課題が残る。

使いにくい構造とウェブサイトの不在

ジェイトモール(画像:宮田直太郎)
ジェイトモール(画像:宮田直太郎)

 前回も指摘したが、ジェイトモールは導線(人が目的の店舗にスムーズに移動できる経路)が悪く、訪れたいテナントにスムーズに向かうことができない。各テナントの入口が建物のなかにあるのか外にあるのか、雨天時に傘が必要かどうかも考慮する必要がある。

 特にわかりにくいのは、2階の建物内にあるテナントへの出入りだ。出入口は2か所あるが、自動ドアではなく、オフィスビルの裏口のようなドアの上に「非常」の表記がある。まるで避難用の「非常口」のように見え、

「通常時に使ってよいのか」

不安になる。実際、取材時にはこのドアは常に開けた状態になっていた。非常口としての機能を十分に果たしているかは疑問だ。

 このためか、2階の室内区画では2026年1月時点でも空きテナントが目立つ。企業のオフィスも入居しているが、当初の想定どおりにテナントが入っているのか疑問が残る。

 さらにジェイトモールには

「ウェブサイト」

が存在せず、事前に詳しい場所を調べることもできない。予定がある場合は、現地に早めに到着して看板を確認する必要がある。この状態が2020年代半ばまで続いているのは、ユーザー目線に欠ける印象だ。

 上層階へのエスカレーターもひとり用と小ぶりで、総事業費約455億円というプロジェクトの規模を考えると、少し寂しい印象を受けてしまう。

 朝日新聞(2021年9月12日付)によれば、この事業には約47%(213億円)の税金が投入されている。もちろん、この公金はマンションの部屋を作るためではなく、駅前広場や道路の整備、公益施設の建設といった「街の公共インフラ」のために充てられるものだ。

 ただ、それほど多額の公費に支えられ、地域の期待を背負った再開発だからこそ、肝心のモールの使い勝手が置き去りにされているのが、どうしてももったいなく感じてしまう。街をより良くするための資金が、結果として「歩きにくいモール」を生んでしまったのだとしたら、その設計のあり方には、もう少し地域やユーザーへの歩み寄りが必要だったのではないだろうか。

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