「税金213億円」は何だったのか――東京・十条駅前再開発、莫大な予算の先に現れた“明るい廃墟”の正体とは
- キーワード :
- まちづくり
東京都北区十条の39階建てザ・タワー十条は578戸中394戸が販売済みだが、1~2階商業施設ジェイトモールは空きテナントが目立ち、街の賑わい創出には課題が残る。
契約者が評価しない商店街の魅力

元々の住民とタワーマンションの居住者との関係の薄さも問題だ。
ザ・タワー十条を販売する東急不動産(東京都渋谷区)のリリースにある契約者アンケートを見ると、契約者は十条駅から徒歩1分で池袋・新宿・渋谷など
・副都心へのアクセスのよさ
・エリア最高層の眺望のよさ
を評価ポイントに挙げていた。しかし十条最大の特徴といえる「十条銀座」をはじめとする賑わう商店街や、メディアに紹介される個性豊かな店舗について評価する声は見られなかった。
もうひとつの販売会社である日鉄興和不動産(港区)のリリースでも、マンション内の設備や再開発ビルのことばかりで、周囲の商店街への言及はなかった。第三者メディアには十条銀座商店街の店舗を紹介するサイトもあるが、販売会社のアピールポイントが「駅近」「都心へのアクセス良好」「眺望よし」に偏っていると、契約者が周辺の店舗を訪れてみようと思う動機は生まれにくい。
実際、筆者が十条の商店街の飲食店を訪れ、店主や常連客に話を聞くと、
「住民が来ている様子は見当たらない」
「わからない」
との返答があった。十分に調べられたわけではないが、タワーマンションの住民と元々の十条の住民や商店街の店主との交流はほとんど見られず、タワーマンションの存在が
「街の賑わいにつながっていない」
印象を受けた。