「テスラは高嶺の花になりました」 BYD、補助金対象外でも「前年比5倍」――英国EV市場を席巻した根本理由とは

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英国のEV市場は2025年、前年比24%増の約47万台と急成長を遂げた。しかし、ZEV義務や補助金政策の影響で実需の熱量は必ずしもともなっておらず、中間所得層の購入ハードルは依然として高い。こうした環境下、中国のBYDは価格と性能を両立した実用EVで台頭。政策の理想と生活者の現実の隔たりが浮き彫りになる中、既存メーカーはプレミアム領域に封じ込められ、市場の構造自体が大きく揺らぎつつある。

価格帯と商品性の両立

Omoda5(画像:Omoda UK)
Omoda5(画像:Omoda UK)

 BYDは車載バッテリーから半導体までを自社でまかなうことで、欧州メーカーが手を出せない価格帯、2万ポンド(約430万円)以下のEVを実現した。この価格設定は、

「中間所得層が実際に購入できる範囲」

に直結し、十分な利益を確保できる基盤となっている。

 内装の作りも特徴的だ。テスラがコスト削減のために進めたミニマリズムとは異なり、回転式の大型モニターや質感の高い物理スイッチを備え、過度なデジタル化への不安を持つ既存のエンジン車ユーザーにも配慮した。

 直感的に操作できる構造が、消費者の心理的ハードルを下げている。さらに6年間または15万kmの長期保証は、EVの再販価値に不安を抱く保守的なユーザーに対し、メーカーがリスクを引き受けるという明確なメッセージになっている。

 主力車種の刷新が遅れるテスラや、ラインナップ拡充で後手に回る日本メーカーを尻目に、中国勢のBYDや奇瑞汽車のJaeco、Omodaは、多彩なSUVモデルを次々と投入することで、市場を幅広い選択肢で支配している。

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