人材とイノベーションの融合――次世代を担う企業文化と技術者【連載】Make Japanese Cars Great Again(7)
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理工系離れと男女格差

日本では技術者が決定的に不足している。内閣官房の教育未来創造会議による「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について(第一次提言)」では、日本のデジタル競争力は世界28位であり、自動車づくりに不可欠なデジタル人材も不足していると指摘されている。人材のスキル転換が停滞すれば、2030年には先端IT人材が54万5000人不足するとされる。
大学など高等教育機関での理工系離れも深刻だ。大学の理工系学部への入学者は、日本は17%であるのに対し、OECD平均は27%である。2014(平成26)年から2019年までの5年間、多くのOECD加盟国が理工系学生数を増やしたのに対し、日本はほとんど変わらなかった。理工系離れは高校段階でも顕著である。高校1年生の時点で理数リテラシーが比較的高い子供は約4割いるが、文理選択で理系を選ぶ生徒は約2割にとどまる。この状況では世界と競争することは難しい。
技術者は女性の社会進出が遅れている分野でもある。文理選択で理系を選ぶ割合は男子27%に対し、女子は16%である。理数リテラシーに男女差はないにもかかわらず、理系を選ぶ女子は少ない。この点には改善の余地がある。
技術者といっても、その範囲は広い。ソフトウエアを例にすると、自動車メーカー、システムサプライヤー、組込みソフトウエア・ベンダーという階層がある。システムサプライヤーは下請け構造のTier1に相当する。組込みソフトウェア・ベンダーは特定の自動車メーカーだけでなく、広く製品を提供する企業である。ソフトウエアは、車を動かす制御系、車や周囲を認識する認知系、得られた情報を処理する判断系に分けられる。さらに職種別では、プロジェクト・マネジャー、アーキテクト、ソフトウエア・エンジニア、テスト・品質管理、開発環境・プラットフォーム技術者に分類される。
今後は階層別・機能別・職種別に適切な人材を確保できるかがカギとなる。デジタル人材だけでなく、従来の製造・生産管理、工場の生産設備の設計・設置、五感で仕上げる職人まで、各階層の技術者が欠ければ自動車の製造は成立しない。そのため、大学の理工系学部の学生数を増やすだけでなく、高等専門学校、専門学校、工業高校、さらには高等教育に進まなくても職人を志す人材まで、幅広く育成していく必要がある。