人材とイノベーションの融合――次世代を担う企業文化と技術者【連載】Make Japanese Cars Great Again(7)
- キーワード :
- 自動車, Make Japanese Cars Great Again
日本車の競争力回復には、技術者戦略が不可欠だ。デジタル人材は2030年までに54万5000人不足する見通しで、国内外の人材確保と企業文化改革がカギとなる。政府・企業の協力で優秀な人材を育成し、再び世界市場での存在感を高める必要がある。
技術者軽視の企業文化

日本では、技術者を「金を産む卵」ではなく、コストと見なす企業文化が長く続いてきた。かつて電機メーカーは技術者を大量にリストラし、優秀な人材は韓国や中国に流出した。その結果、韓国や中国の電機メーカーが力をつけ、日本の電機産業は衰退した。
青色発光ダイオードを発明した中村修二氏の訴訟も記憶に新しい。中村氏は勤務先の日亜化学工業に、発明に見合った報酬として200億円の支払いを求めた。東京地裁は200億円の支払いを認めたが、最終的には8億4000万円で和解した。中村氏は在籍中、報奨金としてわずか2万円しか受け取っていなかった。それでも中村氏は「成果が上がり始めた頃は、本当に幸せだった」と当時を振り返っている。
技術者や研究者は金銭だけでなく、研究に没頭できる環境や成果に満足する部分がある。しかし、2万円では明らかに少なすぎる。企業による「やりがい搾取」ともいえる状況だ。画一的な賃金体系も技術者にとって好ましい環境ではない。給料を上げるには研究で成果を出すのではなく、昇進が前提となる。そのため上司の評価を意識してイエスマンにならざるを得ない。この制度は、イノベーションを阻む構造といえる。
こうした状況はトップの技術者だけに限らない。東南アジアからの技能実習生も、日本で技術を学んでもより高給な海外に出る傾向がある。技術者をコストとみなし、正当な報酬を与えない企業環境では、日本国内だけで優秀な人材を確保することは難しい。