「街の動き、丸見えに」 人流ビッグデータで読み解く交通・観光・都市、もはや“経験と勘”の時代は終わったのか?

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モバイル端末の位置情報を活用した人流ビッグデータが、防災や交通、観光の最適化を加速している。自治体や企業は24時間365日、数百万件規模の移動履歴を解析し、混雑緩和や経済活動の効率化に活用している。

バス路線最適化の実証

現実空間を仮想空間に再現した「デジタルツイン」上で、AIが将来の人流変化や災害時の避難経路をシミュレーションしているイメージ。
現実空間を仮想空間に再現した「デジタルツイン」上で、AIが将来の人流変化や災害時の避難経路をシミュレーションしているイメージ。

 近年、さまざまな自治体や企業で人流ビッグデータの活用が進んでいる。

 例えば、位置情報解析を手掛けるLocationMind(東京都千代田区)と、兵庫県を中心にバス事業を展開する神姫バス(姫路市)は、2022年7月にGPSを活用した実証実験を開始した。目的は既存路線の最適化である。実験では、自社便の乗客数の変動に加え、運行区間の空港や駅周辺の利用者数の変化も収集し、両者を比較した。その結果、乗客の帰宅ピークが想定より早いことや、ポートアイランド内の施設ごとに帰宅ピークの時間が微妙にずれていることが判明した。これらのデータを基に、2023年4月にダイヤ改正を実施した。半年間のモニタリングでは、各運行系統で想定を上回る乗客数を記録した。

 また、愛知県警察は2021年4月からKDDIのKDDI Location Analyzer(KLA)を導入している。管轄エリアでは高齢者を中心に交通事故死者が多く、交通事故死亡率は全国でも上位に位置する。KLAはGPSを活用し、簡易な操作で指定場所の人流データを収集・分析できるWebサービスである。時間帯ごとの人や車の交通量を可視化できるほか、過去の交通事故発生状況とのクロス分析も可能である。

 この取り組みは、具体的な危険箇所を算出し、効果的な交通事故抑止策を立案することを目的としている。導入により、街頭啓発活動の推進やパトロールの強化につながった。その結果、2016年から2020年まで毎年17~20人で推移していた横断歩道での高齢者の死者数は、2021年には6人にまで減少した。

 さらに、社会システム総合研究所は2020年12月から2021年3月にかけて、岐阜県岐阜市や大阪府高槻市の歩行者用デッキや駅舎、観光施設にWi-Fiパケットセンサーを設置し、人流データを収集する実証実験を行った。収集したデータは3D都市モデル上に重ねて可視化可能かを検証した。岐阜市では、JR岐阜駅から岐阜バスターミナルや名鉄岐阜駅に乗り換える人流が、朝夕の通勤時間帯に増加している様子が把握できた。高槻市では、駅前デッキから商店街に向かう人流が、クリスマスの日中に急増する様子を立体的に確認できた。

 このシステムは、電源が届く場所であれば低コストでセンサーを設置可能である。さらに、人流を立体的に分かりやすく表示できるため、観光や商業サービスの施策検討にも活用できる。

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