EVの航続距離を「木材」が伸ばす? 鋼鉄を凌駕する強靭さと軽さを備えた素材の正体

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日本の国土の7割を占める森林資源が、自動車素材の新たな可能性を切り拓く。伝統的な内装材からセルロースナノファイバーによる軽量複合材まで、木材は燃費改善や脱炭素化を後押しする次世代技術のカギとなる。

自動車黎明期の木材利用

木材を用いたコンセプトカー「SETSUNA」(画像:トヨタ自動車)
木材を用いたコンセプトカー「SETSUNA」(画像:トヨタ自動車)

 日本の国土の7割は森林であり、木材は古くから建築や工具、農具などに広く利用されてきた。国内に豊富な資源としての木材は、次世代の車の素材になりうるのか。

 自動車の黎明期、木材は主要な構造材料だった。20世紀初頭の自動車は金属加工や量産技術が十分に確立しておらず、馬車製造の延長として木製フレームや木骨構造が採用された。木材は加工が容易で軽量であり、当時の技術水準において合理的な選択だった。

 1930年代から1940年代にかけて米国で普及した「ウッディー」と呼ばれる車種は、外装に木材を用い独特の意匠性と高級感を備えていた。金属製シャーシの上に木製ボディを架装し、実用性と装飾性を両立させていた。

 しかし耐候性や衝突安全性、量産効率の面から、1950年代以降は全鋼板ボディが主流となり、木材は構造材料としての役割を急速に失った。

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