「昔からの仲間だし……」 なぜ運送会社は不正を通報できないのか? 白ナンバー不正や低運賃ダンピング、仲間意識が阻む業界浄化の現実とは
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「不正を働く運送会社は許せない」と憤る一方で、通報せず、かばうような行動に出る運送会社がある。背後には、業界内のいびつな仲間意識と、行政への根強い不信感がある。
コンプライアンス点検の思わぬ落とし穴

別の運送会社で起きた出来事だ。この会社は死亡事故につながる重大な交通事故を起こした。社長は深く反省し、陸運局の監査にも全面的に協力した。その過程で、以前から不安のあった改善基準告示の遵守状況についても確認を依頼した。
改善基準告示とは、バス・タクシー・トラックのドライバーに課される労務管理基準のことだ。
・連続運転時間
・一日の最大運転時間
・拘束時間
・勤務間インターバル
・週、月、年ごとの総労働時間
まで、条件付きで細かく規定されている。この運送会社は日頃からコンプライアンスに配慮していたが、完全に守れているかどうかは不安があり、事故を機に点検してもらうことにした。監査の結果、担当者から
「惜しいですね。少しだけ規定を守れていない部分があります」
と指摘された。
その二週間後、労働基準監督署が会社を訪れた。陸運局が把握した「少しだけ守れていない部分」について詳細な監査が行われ、後日行政処分が下った。担当者からは
「陸運局からの通報内容が詳細すぎることが気になったのですが。自分で申告してしまったんですね。だったらウチとしても処分をくださざるを得ませんよ」
と告げられたという。
なお、このエピソードには制度設計上、やや不自然な点があるが、取材で得た内容をそのまま紹介していることを付記しておく。