「昔からの仲間だし……」 なぜ運送会社は不正を通報できないのか? 白ナンバー不正や低運賃ダンピング、仲間意識が阻む業界浄化の現実とは
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「不正を働く運送会社は許せない」と憤る一方で、通報せず、かばうような行動に出る運送会社がある。背後には、業界内のいびつな仲間意識と、行政への根強い不信感がある。
繰り返される「仲間内の不正隠し」

国内ではこれまでも、組織や業界ぐるみの不正隠しが重大な社会的損失を引き起こしてきた。代表例がふたつある。
三菱自動車のリコール隠し事件は、2000(平成12)年と2004年に発覚した。数十年にわたり組織的にリコールを隠し続け、2002年には大型トラックのタイヤ脱落事故で母子が死傷した。当初は整備不良だと責任転嫁していたが、内部告発と捜査で隠蔽が破綻した。組織の論理が人命より優先された結果、元会長ら旧経営陣が逮捕される事態に至った。
薬害エイズ事件は1980年代に発生し、1996年に全容が明らかになった。血友病患者に投与された非加熱血液製剤にHIVが混入し、約2000人が感染、多くの死者が出た。当時は海外で加熱製剤がすでに開発されていたが、厚生省、製薬会社、専門医の癒着によって切り替えが遅れた。責任回避が続いた末、元厚生省局長や製薬会社社長、医師が業務上過失致死で逮捕・起訴され、戦後最大級の医療犯罪となった。
企業や業界では、「これくらい大丈夫」という感覚から逸脱が常態化し、違反行為が日常になることがある。さらに仲間内の評価を過度に重視し、外部を敵視する
「内集団バイアス」
も働く。仲間を守ることが法令遵守より優先され、「外に知らせる行為」が裏切りと見なされる心理が生まれる。