「水素30円の壁」を突破できるか? JERA×デンソーが挑む排熱活用SOECと地産地消モデルの戦略
政府目標の水素供給30円/Nm3と現状100円台の価格差。その壁を破るべく、デンソーとJERAが排熱活用型SOECで挑む。燃料コスト低減がFCV普及と地域物流経済を左右する。
世界勢の量産攻勢

楽観視は禁物だ。太陽光パネル市場の歴史が示すように、技術で優れていてもビジネスで後れを取れば市場シェアは失われる。
デンソーが持つスタック技術は、小型、省スペースで車載向けの高い信頼性を備える。精密なセラミック積層技術は模倣が容易でなく、日本の技術力の強みは依然として健在だ。
しかし、世界市場では量産による競争圧力が高まっている。欧州のSunfire社はメガワット級の実証を終え、ギガワット級の工場建設に着手している。中国メーカーも政府支援を背景に大規模投資を加速させており、コスト競争力で世界を圧倒しようとしている。
市場形成期において、標準化や量産で後れを取ると、日本が高性能SOECを開発している間に、世界市場は「そこそこの性能で圧倒的に安い海外製品」に席巻される可能性がある。技術力だけで勝てる状況ではない。
さらに、セラミック特有の熱応力による割れや長期劣化の耐久性はまだ十分に検証されていない。商用化に向けたラストワンマイルの課題も残る。交通・物流の視点で見れば、技術の優位性を活かすだけでなく、生産体制、量産コスト、標準化戦略を含めた総合的な競争力が問われる局面にある。