「水素30円の壁」を突破できるか? JERA×デンソーが挑む排熱活用SOECと地産地消モデルの戦略

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政府目標の水素供給30円/Nm3と現状100円台の価格差。その壁を破るべく、デンソーとJERAが排熱活用型SOECで挑む。燃料コスト低減がFCV普及と地域物流経済を左右する。

排熱活用による統合型モデル

SOECの構造(画像:京セラ)
SOECの構造(画像:京セラ)

 そこで登場するのがSOEC(固体酸化物形電解セル、Solid Oxide Electrolysis Cell)だ。電解質にセラミック膜を用い、高温の水蒸気を分解するこの技術は、既存のアルカリ型やPEM型とは一線を画す特性を持つ。

 SOECは700~800度の高温で作動するため、水分子の結合が弱まり、電力消費を抑えられる。従来型が約2.0ボルトを必要とするのに対し、SOECは1.3ボルト程度で稼働できる見込みだ。この差は製造コストに直結する。

 今回の実証実験の肝は、SOECを動かすことそのものではない。JERAの火力発電所から出る排熱を活用し、水を水蒸気に変えて作動温度を維持する仕組みが組み込まれた点だ。電気ヒーターを使えば高温維持にコストがかかるが、排熱利用により電力消費を大幅に削減できる。JERAは従来捨てていた熱を資源化でき、デンソーは電力使用量を抑えながら装置を高効率で稼働させられる。双方に経済的なメリットが生まれる構造である。

 さらに、デンソーは車載用セラミック技術の蓄積をSOECに応用できる。酸素センサーや排ガス浄化触媒で培った精密積層技術は、高温環境下でも安定した性能を発揮するため、水素製造分野での競争優位性につながる可能性が高い。

 この統合型モデルは、水素コストを下げるだけでなく、地方の水素供給ステーションや物流ハブでの運用効率向上にも直結する。地産地消型の水素供給を前提にすれば、インフラ投資の効果を最大化しつつ、地域経済への波及効果も期待できる。

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