三菱自、5年ぶり「英国市場」に復帰! いったいなぜ? 売上回復だけでは語れない“真の狙い”を考える
三菱自動車が約5年ぶりに英国市場へ復帰する。2035年のZEV規制を控え、PHV技術を軸にSUVを投入し、年3万台規模の販売でASEAN依存から収益を分散する戦略だろう。
ZEV規制とブランド転換

今後を見据えると、2030年ごろには英国のEV比率は50%を超えると想定される。その時点でも、PHVは移行期需要として一定の残存余地がある。三菱自の英国販売は年3万~5万台規模に達し、欧州での販売規模は日本を上回るだろう。これにより、ASEAN依存からの地域ポートフォリオの是正が進み、収益の分散が図られる。また、ルノーからのOEM供給によりラインナップが拡充され、三菱自の電動車比率の向上も期待できる。
2035年前後には、英国政府によるZEV規制でエンジン車販売が全面禁止される。EVの供給責任はメーカー間で二極化し、EVシフトに追随できるかどうかがポイントとなる。三菱自が過去のレガシー技術から完全に脱却し、新たな企業価値を創造する電動車専業ブランドに転換できるかがターニングポイントとなるだろう。
欧州の環境規制の厳格化とアライアンス調達が完全に連動すれば、規制の圧力がアライアンス内での技術の最適配置を強制する外部的なドライブ力として働き、三菱自の低投資グローバル戦略の最適化が可能となる。
三菱自の英国復帰は、電動化とアライアンスを軸とした世界戦略の一部と捉える必要がある。EV規制、部品調達、為替、英国市場の構造変化のいずれが成功確率を左右するかを見極めることが重要だ。
成功のポイントは、電動車ラインナップの拡充だけでなく、PHVを「つなぎ」として活用する間に、いかに早くブランドのアイデンティティをEVへとシフトさせられるかというブランド転換の速度にある。2026年以降の電動車ラインナップ拡充が、再参入の持続性を決めることになる。