AV時代に必須? 信号機に「白色」が必要な根本理由

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自動運転車(AV)とネットワーク型信号の導入が、交通効率と燃費改善に直結し始めた。白信号を加えた交差点では、AV割合10%で遅延3%減、30%で10.7%減を実現。港湾など限定環境でのパイロット導入も進み、道路設計のあり方が一変する可能性が浮上している。

白信号の効率効果

自動運転イメージ(画像:写真AC)
自動運転イメージ(画像:写真AC)

 AVの潜在能力を最大限に活用することは、一種の“集合知”を活かすことを意味する。AVは本質的に車輪のついたコンピューターであり、信号機や周囲の複数のAVとネットワークを形成できる。これにより交通渋滞の緩和や燃料・電力効率の向上が可能になる。責任著者のアリ・ハジババイエ氏は、プレスリリースでこう述べる。

「交通流制御の一部をAVに委ねるという考え方は、モバイル制御パラダイム(mobile control paradigm)と呼ばれる比較的新しい考え方です」

「これはAVが関与するあらゆるシナリオにおいて、交通を調整するために使用できます。そして交差点に白色光のコンセプトを取り入れることが重要だと考えています。なぜなら、白色光は人間のドライバーに何が起こっているかを伝え、交差点に近づく際に何をすべきかを知ることができるからです」

このシナリオでは、交差点におけるAVの割合が低い場合、信号は従来通り3色で作動する。だがAVの数が増えると、白信号が人間のドライバーに前方の車に従うよう指示する。

 研究チームは、交通状況を再現するために「ミクロ交通シミュレーター(microscopic traffic simulators)」と呼ばれる高度な計算モデルを用いてシステムをテストした。シミュレーションでは、白信号を追加した交差点の方が車両の通過がスムーズで、燃費も改善された。

 AVの割合が増えるほど白信号の効果は大きくなる。たとえば、AVが全体の10%の場合、交通の遅延は3%減にとどまるが、30%になると遅延は10.7%まで減少した。

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