9月開業の西九州新幹線 「佐世保」はなぜルートから外されたのか? 背後にあった政治マターと市長の憤怒
西九州新幹線が2022年9月23日に開業する。当初の計画で佐世保市はルート上に設定されていたが、最終的に計画から外された。いったいなぜなのか。
開業結果の判断は数年先に

2017年になり、高田県知事は当時の状況をこう証言している。
「運行主体のJRから「収支改善が見込めず難しい」と言われたら実現は不可能。ただ、どうしてもやるなら全面的にあらゆる検討が必要、と条件が付いた。そこで考え出されたのが、佐世保を経由しない短絡ルートだった。地元知事の僕が言い出せば猛反発に遭い、話はつぶれてしまう。だから佐賀の井本勇知事にお願いし、佐賀県案として発表してもらった。長崎ルートを通すのが第一義の本県にとっては地獄に仏。それでも佐世保の反発は相当強かった」(『長崎新聞』2017年11月3日付)
ルートから外された佐世保では、新幹線開業に併せて特急車両に振り子型車両を導入するなどの高速化も予定されている。
新幹線開業に沸く長崎市に対して、佐世保市に盛り上がりはない。ただ、ほかの地域を見ても、新幹線開業が全ての都市を活性化させたわけでもない。
果たして、佐世保市に新幹線が来たほうがよかったのか、はたまた来なくてよかったのか――。その判断は、数年先になりそうだ。