「私は長崎市に行かない」 9月開業・西九州新幹線に地元から「NO」の声、経済効果は本当にあるのか?
9月23日に暫定開業
長崎駅と佐賀県の武雄温泉駅を結ぶ西九州新幹線が2022年9月23日、開業する。それに向けて、試験走行も5月10日から始まる予定だ。
沿線にとっては待望の新幹線開業だが、あくまで暫定的なもの。なぜなら、在来線の特急かもめで博多駅から武雄温泉駅まで行き、新幹線に乗り換えなければならないからだ。
博多~武雄温泉間は、費用負担や整備方式をめぐって折り合いが付いておらず、着工には至っていない。先の見通しの立たない暫定開業だが、この新幹線は地域にどんな効果をもたらすのだろうか。
長崎市の経済効果は「年114億円」見込み
新幹線開業による経済効果に対する期待値が最も高いのは、長崎市だ。
長崎駅は開業を前に、大きくその姿を変えた。かつては行き止まりになった線路とホームが並ぶ終着駅らしい旅情があった。しかし、開業を前にこの風景は消えた。150mほど西側に、新幹線ホームを備えた高架駅舎が新たに建設され、全面移転したのである。
駅周辺の再開発も進んでいる。西口には2021年11月に大型コンベンションホール「出島メッセ長崎」が開業。地上4階・地下1階で、駐車場を含めた延べ床面積は約3万3500平方メートル。閣僚級国際会議や大規模ビジネスイベントの誘致も進んでいる。
開業時点での想定利用人数は、年間61万人。2021年9月時点で、今後1年間は94.8%の予約が入っており、経済効果は
「年間114億円」
が見込まれている(『読売新聞』2021年11月2日付西部朝刊)。
また従来の表玄関だった東口では、2023年に、JR九州とマリオット・インターナショナルによる「長崎マリオットホテル」が開業予定。2024年には駅北側の三菱重工長崎造船所跡地に、ジャパネットホールディングスが手がけるサッカースタジアムを核とした「長崎スタジアムシティ」が開業予定だ。
長崎県では、新幹線開業による再開発を
「100年に1度の大きな変革の時期」
と表現している。
長崎県が2020年9月に発行した『NAGASAKI Revolution4.0』によると、新幹線開業に加えて、
・ハウステンボス周辺への統合型リゾート(IR)の誘致
・国際クルーズ港の整備
・長崎空港の24時間化
によって、アジア圏の核となる目標が示されている。