「Suica帝国」に宣戦布告? 首都圏11社「クレカ相互利用」連合、今後どうなる? 背後で支える技術力の正体
2026年春、首都圏11社の鉄道がクレジットカードタッチ決済で相互利用を開始する。三井住友カードとOSSが仕組みの中核を担い、ICカードとクレカの競争・協調を通じ都市交通の利便性とデジタル化を一気に加速させる。
相互利用開始の不透明性

OSSが担うのは、東急グループのプレスリリースにある表現を借りれば、
「後払い乗車サービスの相互利用に必要な運賃計算システムの開発・構築」
である。タッチ決済乗車の相互利用を可能にする仕組みの根幹をOSSが担当するわけだ。
もちろん、複雑な運賃計算を正確に算出し、導入後もシステムが正常に稼働するかは重要な課題である。特に気になるのは、相互利用の開始時期が
「2026年春以降」
としか発表されていない点だ。具体的な日程は明示されていない。東京メトロにとってタッチ決済乗車の全線適用開始時点で相互利用が可能になると書いたが、実際にはそうならない可能性もある。OSSが開発したシステムが順調に稼働し続けるかどうかを見極める必要がある。
OSSという社名に見覚えのある読者もいるだろう。ライドシェア分野では既に知られた存在である。京都府舞鶴市と長野県駒ケ根市では、公共ライドシェアサービス「meemo」がOSSのプラットフォームを利用して運営されている。OSSが直接運営しているわけではなく、各地の運営主体にプラットフォームを提供する役割を担っているのだ。
このことを踏まえると、OSSは日本のMaaS事業において、極めて重要なプレイヤーとしての存在感を増していくことは間違いない。