「休憩できない」「トラックも停められない」 “観光地化”するサービスエリアの落とし穴! 年1000億円商業圏の現実とは

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高速道路SA・PAは年間1000億円規模の商業拠点に成長した一方、物流や高齢ドライバーは駐車不可に。観光化と安全確保の両立が課題となる。

観光地化の裏で生じる分断

SA・PAのイメージ(画像:写真AC)
SA・PAのイメージ(画像:写真AC)

 観光客が増えるほど、休憩場所を必要とする人々が居場所を失っている。トラックドライバーや高齢ドライバー、短時間の休憩を目的に立ち寄る利用者だ。特に物流現場では、働き方改革の影響でドライバーの休憩確保が義務化されている。しかし現実には、大型車区画の整備が追いつかず、観光目的の車両が専用区画を占有するケースが少なくない。

 現場では「休憩したくても駐車できない」という声が日常的に聞かれる。ネット上でも次のような指摘が目立つ。

「滞在型施設ばかりで駐車場がすぐ埋まり、回転率が下がっている」
「小型車も停められず、大型車区画に止める人や休憩を諦めて次の施設まで走る人が増えている」
「混雑で休憩できず、待機列が高速道路の渋滞を生んでいる」
「物流車両が休憩できず、警備員の負担も増えている」
「休憩に関係ない施設を作るなら、トラック専用施設も整備する必要がある」
「どこも同じような割高なチェーン店ばかりで、地域の特色が失われている」
「儲け優先になり、休憩場所としての機能が低下している」
「SAはイオンモール化し、商業圏化が進んでいる」
「売上が通行料に還元されず、誰が得しているのか不透明になっている」
「地方ではレストランが減り、フードコートやコンビニ兼用の売店が中心になっている」
「トイレや軽食の利用がスムーズにできないこともある」
「一部のPAでは閉鎖が進み、公共交通との格差も生まれている」
「充電器が故障すると、EV利用者も滞在目的で使えないことがある」

 SAやPAは商業施設としての存在感を強め、地域の名産品や限定グルメを揃えた施設はレジャー利用者に魅力的だ。しかし滞在時間が長くなることで駐車マスの回転率が下がり、もともとの「安全な休憩場所」としての機能が損なわれる。トイレや軽食を目的に訪れたドライバーが駐車できず、次のエリアまで走り続ける事態が起きれば、疲労運転や注意力低下による事故リスクが高まる。

 駐車場不足はSA入口の渋滞にも影響する。進入待ちの列が本線上に伸びると、交通全体の効率にも悪影響を及ぼす。この状況は、SA・PAが本来担う安全確保という役割と、商業的な魅力との間で矛盾が生じていることを示している。

 さらに商業化が進むにつれ、「どこも同じチェーン店ばかり」という指摘も増えている。地域独自の特色は薄れ、利益優先の運営姿勢に対する不信感が広がる。売上の増加が通行料の値下げやサービス向上に反映されていないことも、利用者の疑念を深めている。地方では設備の老朽化やサービス縮小が進み、EV充電器の故障や不足、障がい者向け設備の不足など、次世代モビリティへの対応も課題となっている。

 観光地化が進む一方で、安全確保という高速道路インフラの原点が揺らいでいる。利用者層ごとの利便性や安全性を再評価し、滞在型施設と休憩機能を制度的に分ける設計が求められる。今こそ、誰のための休憩施設なのか、その原点を見直す時期に来ている。

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