「完璧主義の呪縛」に捕らわれた日本車メーカー bZ4X開発5年 vs SEAL18か月という現実――構造的遅延を断てるかのか
EVと自動運転の融合が進む世界市場で、日本は完成車開発に固執し、EV部品自給率10%未満、国内就業人口減少など構造課題に直面する。部品、メンテナンス、知財を再設計し、社会実装単位で競争力を取り戻す戦略が急務である。
ティア0.5と連携強化

次に、日本自動車産業の生き残りの道を三つの観点で考える。
・部品・素材・製造技術の再定義
・メンテナンスとリサイクルを軸にした産業モデル
・海外人材と知財流通のハイブリッド化
である。まずは、「部品・素材・製造技術の再定義」から議論する。
EV化による淘汰が進むなか、
・金属
・樹脂
・化学
といった素材産業には改めて注目すべきである。吸音材の西川ゴム工業、ダイキャストのリョービ、流体制御のフコクなど、中国勢が模倣しにくい強みを持つ企業も存在する。特許件数で見ても、日本の車載材料分野の国際特許シェアは約22%で世界2位を維持している。これらの企業は
「完成車依存」
ではない。世界のティア0.5企業と連携し、価値を再定義する戦略を取っている点が注目される。従来のティア1・ティア2という枠組みにとらわれず、自動車の情報化や電動化の変化に対応し、ティア0.5との融合・協働を進めることが生き残りのカギである。自国市場に留まらず、部品・素材で世界標準を握る方針への転換が急務である。