テスラ「モデルY廉価版」は成功する? 価格は約607万円~、単なる「安物化」か「普及の突破口」か? 高級モデルとの比較で読み解く

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テスラが607万円の廉価版モデルYを投入した。航続距離517kmを確保しつつ装備を簡素化。マスクCEOの2006年プランに基づく「高級 → 普及」の価格階層戦略の第3段階で、EV普及と社会接続を同時に狙う布石である。

テスラの廉価版戦略

テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏(画像:AFP=時事)
テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏(画像:AFP=時事)

 テスラは2025年10月7日、モデルYの廉価版を発表した。価格は3万9990ドル、日本円で約607万円である。従来モデルより約11%安く、手が届きやすい設定となった。航続距離は1充電あたり321マイル(約517km)を確保している。

 廉価化にともない、一部装備は簡素化された。インテリアの合成皮革の一部は布張りに変更され、センターコンソールも短くなった。物理キーは廃止され、スマートフォンで車両にアクセスする仕組みである。後席のタッチスクリーンは削除され、スピーカーも半減した。しかし空力特性は向上し、安全装備として

・衝突被害軽減ブレーキ
・車線逸脱防止機能

は標準搭載される。利便性と安全性のバランスは十分に考慮されている。

 米国市場では電気自動車(EV)向けの税額控除終了により需要減速が予想される。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によれば、7~9月に約50万台だったEV・プラグインハイブリッド車(PHV)販売は、10~12月には約33万台まで落ち込む見込みだ。テスラ株も発表当日終盤で約4%下落した。

 一見すれば、廉価版は

「苦肉の策」

に映る。しかし、イーロン・マスクCEOの2006年マスタープランに照らせば、この廉価化こそ戦略の核心であることがわかる。手の届く価格帯での市場拡大こそ、成長の本命戦略なのだ。

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