「完璧主義の呪縛」に捕らわれた日本車メーカー bZ4X開発5年 vs SEAL18か月という現実――構造的遅延を断てるかのか

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EVと自動運転の融合が進む世界市場で、日本は完成車開発に固執し、EV部品自給率10%未満、国内就業人口減少など構造課題に直面する。部品、メンテナンス、知財を再設計し、社会実装単位で競争力を取り戻す戦略が急務である。

高齢化で進まぬ自動運転

米国(画像:Pexels)
米国(画像:Pexels)

 三つめの構造は「国内需要の縮小と免許人口の激減」である。

 国内の新車販売台数は、1990(平成2)年の777万台をピークに、2024年度には457万台強に落ち込んだ。少子高齢化の影響が大きい。特に20代の運転免許保有率は60%台まで低下している。1990年代は90%を超えていた。

 地方では公共交通の衰退により、高齢者の移動困難が進んでいる。しかし、自動運転を活用した社会実装は実証実験の段階から進まず、進展は遅い。公道試験に必要な許認可手続きも煩雑で、政策・制度面から見てもテスト走行の環境整備が遅れている。

「安全第一」

の理念が、かえって実験と改善の機会を奪っている現実がある。

 政策・制度面での慎重さや、何度も石橋を叩く文化が本当によいのか。筆者は疑問を呈したい。読者も自ら考えるべき問題である。

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