「部下に信任されない課長」「人気投票で左右される部長」 上司を“選ばれる力”だけで評価しても全く意味がない理由【連載】上司ガチャという虚構(3)

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若手社員の3年以内離職率は約35%。企業は部下の信任が得られなければ上司を続けられない仕組みを導入し、権限型から信頼資本型への組織改革を進めている。心理的安全性と相互成長を軸に、企業文化そのものが変化しているのだ。

「部下からの信任」が上司の椅子を決める時代

上司のイメージ(画像:写真AC)
上司のイメージ(画像:写真AC)

 では、企業は具体的に何を始めたのか――。最近では、

「部下の信任」

が得られなければ上司を続けられない仕組みを導入する企業が現れ始めた。上司はもはや、部下から支持されなければ成立しない存在になったのだ。

 札幌の構造設計会社さくら構造では、社員が上司を信任投票で選ぶ仕組みを導入した結果、離職率が10%以上から

「1%前後」

に激減した。静岡の平成建設でも、チーフリーダーを部下から投票で選出し、信頼が得られなければ交代する制度を取り入れている。部下が能動的に

「この上司となら成長できる」

と選ぶことで、組織は良い結果を生んだのだ。この制度の核心は、上司の価値軸が「権限」から

「相互成長」

へとシフトした点にある。大切なのは役職ではなく、部下が成長できる関係を築けるかどうかである。上司の権限や経験よりも、部下からの信任が決め手となる時代になった。

 上司は部下をコントロールするのではなく、信頼と共感を基盤に成長を支援する。この相互成長関係は心理的安全性を生み、採用・育成コストの削減や自発的挑戦による成果向上につながるのだ。

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