「EV一択」は終了か? ポルシェ5400億円計上の衝撃、米中政策下で露呈した「脱エンジン路線」の限界

キーワード :
,
欧州でEV販売比率が15.8%にとどまり、中国でも成長が鈍化するなか、ポルシェは5400億円超の損失を計上し計画を見直した。BMWやメルセデスもEV一辺倒から転換し、高級車市場はエンジン車延命と多様化戦略へと動き出している。

高級車EV回帰の衝撃

フェラーリ・846テスタロッサ・PHV(画像:フェラーリジャパン)
フェラーリ・846テスタロッサ・PHV(画像:フェラーリジャパン)

 ポルシェは2025年8月、傘下のセルフォースによる高性能バッテリー製造計画を中止した。EV投入計画の見直しにともない、2025年度に最大31億ユーロ(約5400億円)の特別費用を計上。このうち18億ユーロ(約3100億円)は、EVプラットフォーム開発延期に伴う減損や引当金だ。製品戦略の調整、バッテリー事業、組織変更も含まれる。VWグループの業績にも影響し、合計で51億ユーロ(約8900億円)の損失となる見通しだ。

 高級ブランドによるエンジン車への回帰も相次いでいる。BMWはエンジン車継続の方針を示し、エントリーレベル専用の新プラットフォーム開発を進める。メルセデスベンツは2024年2月、「2030年まで全車種をEV化」目標を撤回した。EVラインナップ「EQ」の販売は振るわず、2025年7月には米国での受注も停止した。

 さらに超高級ブランドもエンジン車回帰を打ち出し始めた。ベントレーは「Beyond100」戦略で2035年までにエンジン車販売を終了する計画だったが、VWグループ傘下の他ブランドとの共有投資を考慮し、エンジン車延命に転じている。ランボルギーニはHVやPHVに注力し、フェラーリもフル電動化には踏み切れていない。フェラーリジャパンは先日、「846テスタロッサ・PHV」を日本で初披露した。

 高級車ブランド各社は、EVシフトの加速から一転して調整フェーズに入った。相次ぐエンジン車継続の動きは、産業構造の分岐点を示唆している。

全てのコメントを見る