国内初「フルフラット座席」――高知発「フラットン」は夜行バスを変えるのか? 12月運行開始、収益性・安全性の壁とは
高知駅前観光は国内初のフルフラットシート夜行バス「フラットン」を本格運行する。高知~東京間24席で片道1万4000円、SNS評価も高く、快適性・収益性・安全性の両立と知財活用による全国・海外展開の可能性が注目される。
フルフラット席展開の構想

バス事業の研究者として、ここまでさまざまな提案や課題を指摘してきたが、高知駅前観光の取り組みには高く評価すべき点もある。それは、
「バス事業者の知財経営の可能性」
を示していることである。会長は、長距離夜行バスの乗客が長年感じてきた着座による疲労を解消するため、地元の模型製造会社・サーマル工房に設計を依頼し、製造は地元大手の垣内が担当した。
これはビジネスノウハウの結晶であり、横展開の可能性を秘めている。国内にとどまらず、寝台バスを一般化している海外市場への展開も想定される。高速バスが普及するアジアや欧州での応用も期待される。夜行バス文化の成熟度や需要予測に基づき、エリア別の展開戦略も描ける。
国内外のバス事業者の関心に応えつつ、フルフラットシートの多様な手法を検討し、知財競争が起これば、ユーザー本位のバスビジネスの新たな展開も期待できる。