駅前に残る「閉鎖百貨店」――日本一の人口増加率を誇ったベッドタウンは、なぜ「買い物難民の街」になったのか
三重県名張市の桔梗が丘住宅地で、駅前の百貨店跡が閉鎖されたまま放置されている。市民からは再開発を望む声が上がるが、市の財政は厳しい状況にある。
名張市は財政再生団体転落の危機

名張市側にも苦しい事情がある。2025年度から5年間の財政見通しで、2028年度に累積赤字が51億円に達して財政再生団体に転落する可能性が出てきたことだ。2016~2023年度の一般会計収支は表向き、黒字で推移しているが、地方債の借入額などを考慮すれば2021年度を除いて実質3~11億円の赤字だった。
桔梗が丘など新興住宅地の住民が一気に後期高齢者となり、税収が落ち込む一方、社会福祉費がはね上がっているからだ。このため、2025年度一般会計予算(地方自治体の通常の行政運営に使う基本予算)では、
・福祉バス運行
・地域福祉増進事業
の補助金廃止など29の事業、補助金にメスを入れた。市職員の給与も全職員を対象にカットしている。10月からは市民病院を独立行政法人化する。
この財政状態で名張市が施設を取得して再整備に乗り出すことはできそうもない。名張市総合企画政策室は
「近鉄側と話し合い、新たな住民を呼び込める駅前づくりを考えるしかない」
と苦しい胸の内を打ち明けた。名張市を人口増加率日本一に押し上げたのは桔梗が丘の誕生だ。桔梗が丘に活力を取り戻すすべは見つかるのだろうか。