EV整備士「月給40万円」超え! 中国で勃発した人材争奪戦、日本でも迫る専門技術者の不足とは

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中国で3140万台に達したNEV市場は整備士不足で揺れ、日本も同様の課題に直面する。待遇改善や教育整備を進め、EV整備士の専門化は人材不足を成長機会に変える鍵となる。

人材確保で市場維持

整備士のイメージ(画像:写真AC)
整備士のイメージ(画像:写真AC)

 EV整備士不足は、中国だけの問題ではない。世界中のEV市場で共通する課題だ。需要の急増に整備士が追いつかず、人材育成も遅れている。

 日本も例外ではない。共同通信によると、2024年度の整備士試験申請者は3万5504人で、2004(平成16)年のピーク時の半数以下に減少した。一方で国内の乗用車保有台数は増加を続け、過去20年で約700万台増えている。

 整備士の待遇や労働条件の魅力不足も指摘される。若年層の志望者は増えておらず、

・労働環境
・賃金面

の課題が背景にある。日本自動車整備振興会連合会の2024年度調査によれば、整備士の平均年収は約426万円で前年度比2%増。業態別では、

・整備専業:約382万円
・ディーラー:約509万円

となる。人手不足なのに待遇は抜本的に改善されない、悪循環が続く。

 EV整備には新たな技能が必須だ。ガソリン車整備と単純に比較できず、特に電気系統やソフト診断の専門性が求められる。整備士不足に加え、EV対応技術を持つ人材も不足し、二重の人手不足に直面している。

 さらに日本では人口減少と若者のクルマ離れが進む。労働環境の厳しさも重なり、志望者は減少し続ける。課題はゼロサムで捉えるべきではない。人的資源、既存構造、教育制度を組み合わせ、人材確保の仕組みを早急に整える必要がある。

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